セカンドライフ提案 vol.09 | ペットもごきげんな住まいづくり
こんにちは、コラム担当マツイです。(マツイさんの書いた記事一覧はこちら)
昔は、寒空の下でも鎖につながれっぱなしの犬や、外でケンカして帰ってくる猫をよく見かけたものです。それが今ではすっかり、「ペットは家族の一員」。家の中で大切に飼われている犬や猫が多く、「ペット可」のマンションも増えましたね。
50代以上の方なら、子どもの独立後、寂しくなってペットを迎えようとしている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ペットと人の双方が快適に暮らすため、リノベーションで工夫できることを考えてみましょう。
愛犬のお散歩帰りや夏場にうれしい土間スペース
犬と猫は、動物としての本能や習性も、身体のつくりも異なります。先に犬について、その特性から住まいづくりで工夫してあげたいことを挙げてみましょう。
まず、犬には散歩が必要であることが猫とは大きく違います。犬はもともと集団で狩りをしながら長距離を歩く動物なので、散歩をしないとストレスが溜まってしまうのです。
散歩をすることは飼い主さんにとってもいい運動になるのですが、室内飼いの場合は、家に帰ってから部屋に上げる前の足拭きなどが大変です。とくに雨の日は、濡れた身体を玄関で思いきりブルブル、泥だらけの肉球スタンプをペタペタ…。
そこで玄関横の軒下などに、足洗い場(水栓+防水パン)を設けておくと便利です。マンションの場合なら、このように玄関土間を広くプランニングしてはいかがでしょうか。
こうした土間は、土汚れや水はねなどもあまり気にならず、掃除もしやすいことがメリット。土間の一角に足洗い場を設け、お散歩帰りに直行すれば安心です。
さらに、土間スペースは夏場にも重宝します。犬は足の裏と口でしか体温調節ができないため、暑さに弱いのです。タイル仕上げの土間なら、夏にひんやりと感じられ、愛犬にとって心地よい居どころになります。
また室内では、犬にとってツルツル滑りやすいフローリングに要注意。とくに子犬や大型犬は、滑るまいと踏ん張りすぎて股関節に悪影響を与えかねません。犬の動線には、カーペットをはじめとした滑りにくい床材を採用しましょう。
ちなみに、犬の足裏の肉球からはみ出した毛は、よけいにツルツルを招いてしまいます。こまめに切ってあげましょうね。
高いところが好きな愛猫にはキャットウォークを
では、猫の場合はどうでしょうか。まず第一に、犬が平面的に広い範囲で動き回るのに対し、猫は上下運動を好みます。犬はヨコ、猫はタテの動線がポイントです。
ですから猫は、タンスなどを階段状に組み合わせたり、キャットタワーを付けてあげたりすると大喜び。さらに、こんな至れり尽くせりのアイデアもあります。vol.5「寒さ対策で、冬もイキイキ健やかに」でも床暖房についてご紹介した、東京都品川区M邸 のキャットウォークです。
左手に見えるステップから上って、リビングの周囲をぐる〜り、愛猫たちが下を見おろしながら悠々と歩き回れます。さぞかし気持ちが良さそう!
キャットウォークの枠組みが、木質感たっぷりのインテリアにしっくりと馴染んでいます。一見、枠しかないように見えますが、ちゃんとポリカーボネートの床面もあります。透明なのでインテリアへの圧迫感がなく、家族が見上げればいつでも愛猫の気配を感じられます。
そして、リビングのドアの下部にもご注目ください。各部屋のドアにペットドアを取り付けています。自由に出入りし、高い所も歩き回り、充分に運動できればストレスによる爪とぎも減りますね。
リビングを反対側から見たところです。隣接する和室にもキャットウォークを設けています。
フローリングには、爪などによるキズ跡が目立たない、厚みのある挽き板を採用しました。床暖房にも対応しているので、冬は寒がりの猫もごきげんです。
続いて、別の空間もご紹介しましょう。
M邸では、玄関の手前に引き戸をつけ、猫が外に出ないように配慮しています。猫って本当に、隙あらば外へダッシュしてしまいますから…。
この引き戸はリクリエイトの自社工場で製作させていただきました。ほどよく視線が抜け、光も風も通る縦格子のデザイン。閉めても閉塞感がなく、玄関ホールの明るさも保たれます。
写真右手前のオープンスペースは、猫のトイレ置き場です。上の開き戸の中は収納スペースになっており、トイレのお手入れ用品をはじめとした猫用グッズを便利に収納できます。
このトイレスペースと収納が一体となった造作家具は、猫だけでなく犬にも応用可能。たとえば下部にトイレではなく犬用ベッドなどを置き、ハウスとして使うこともできます。オーダー家具製作が得意なリクリエイトなら、カスタマイズも自在です!
「後から」では実現できないことがいっぱい
ここまで実例を交えながら、ペットと暮らすリノベーションで工夫できることをご紹介してきました。他にもいくつか、考えられることをご紹介しておきますので参考にしてみてください。
■猫はひなたぼっこが大好き。出窓をつくったり、窓際にチェストを置くなどしてひなたぼっこスペースを確保してあげると喜びます。
■階段がある場合は、ペットにとっても危険地帯。とくに高齢のペットは人と同じように足腰が弱ってくるので、滑り止めマットを敷くなどして安全性を高めましょう。
■ペットを飼っていて気になるのはニオイです。局所的な空気清浄機も使いつつ、風の通り道となる窓を設けるなど、住まい全体の通風計画によって積極的に空気の入れ替えを。
■ニオイと同様に、配慮しておきたいのが汚れ対策です。
たとえば、ゴハン置き場の周りをタイルカーペットにしておけば、汚れた部分だけ取り替えたり洗ったりすればOK。
壁のクロスも、腰高の位置を境にして上下に貼り分けておけば、爪とぎやマーキングなどで傷ついたり汚れたりした場合も、下半分だけを貼り替えるだけで済むので気が楽です。
いかがでしたか?住まいができあがってから工夫できることもありますが、プランの段階で考えるべきことの多さに気づいていただけたでしょうか。
また、犬なら犬、猫なら猫にある程度共通した特性はあるものの、人と同じで個々の性格は異なるので、それぞれの個性に合わせた工夫も必要になります。リクリエイトでは、そんなお話もしっかり伺ってからプランニングさせていただきます。
大切なペットも含めた、ご家族のしあわせな日々をリノベーションではじめましょう!