住まいのリノベーションと
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株式会社Re-create

セカンドライフ提案 vol.08 | 加齢にやさしい照明テクニック

無意識にスマホと目の距離を広げていることに気づいて、ギクッ!としたり。夕方になると、あれっ?と物の見え方に違和感をおぼえたり…。気持ちはいつまでも若くても、40代以降になれば目の衰えを実感する人が増えてきます。

 

住まいの照明は、そんな目をいたわり、暮らしやすさを高めるための大切な要素。もちろん、インテリアを美しく見せ、くつろいだ雰囲気を演出するにも欠かせません。

 

そこで今回のテーマは「照明」。リノベーションが終わってから後悔しないよう、加齢によって視覚にどんな変化が起こるのか、さらに、そのために配慮しておきたいことをまとめました。

 

 

広い空間では一灯ではなく多灯づかいが基本


 

年齢を重ねた目の特性には、一つに「明るさを感じにくくなる」ということがあります。光の明るさを「照度」と言いますが、たとえば60代の人なら20代の人に比べ、約3倍の照度を与えなければ十分に明るさを感じられないと言われています。

 

では、どの空間もとにかく明るくすればいいのかというと、そうではありません。ここで加齢による視覚の変化として、もう一つの問題に行き当たります。それは「少しのまぶしさでも目を開けられなくなってしまう」ということです。

 

若い人より照度を上げたいけれど、まぶしさが出てはいけない。矛盾しているようで、一体どうすればいいんだ!と言いたくなるでしょうが、しばし我慢してお付き合いください。

 

セカンドライフを見すえた住まいづくりの大きなポイントは、「光を分散させる」ことです。特に、リビングのような広い空間を1つの照明器具だけでカバーしようとすると、光源が明るくなりすぎて非常にまぶしくなります。これは年齢を重ねた目にはとても辛いものです。

 

ですから、主照明のほかに間接照明や補助照明を組み合わせ、光を分散させることが大切なのです。これらを総合すれば、空間全体として必要な明るさを確保でき、1つひとつの器具のまぶしさも抑えられるというわけです。

 

 

憧れの間接照明は設計段階で計画を!


 

ここで「間接照明」について、少しおさらいをしておきましょう。「なんとなく雰囲気のある、おしゃれな照明」という程度に理解している人が多いのではないでしょうか。

 

照明器具が直接、対象物や人の居どころを照らす「直接照明」に対し、「間接照明」は文字通り、照明器具からの光をいったん壁や天井などに反射させてから、間接的に人の居どころを照らして明るさを感じさせる方法です。

 

間接照明の具体例として、大阪市西区I邸 のリビングをご覧ください。

 

 

リクリエイトで造作させていただいたテレビボードの背面に間接照明を仕込み、グレーの壁面をほんのりと照らしています。さらに、その上にも間接照明を設けて天井面を照射。昼間の写真なので効果が薄れていますが、夜はくつろぎのムードたっぷりの演出になります。

 

 

テレビボードは横から見るとこんな感じ。ウッドパネルとグレーの壁との間に間接照明が隠されています。

ちなみに、グレーの壁は「アイカ工業のジョリパッド」を使って、凹凸のある塗り壁に仕上がっています。

 

 

リビングからダイニング側を眺めた様子です。ダイニングテーブルの上のペンダントライトは直接照明。その周りに、折り上げ天井を活かした間接照明を仕込んでいます。

 

間接照明は、直接照明よりも効率は落ちますが、照度を均一にしやすく、雰囲気のある光が生まれることが特長。気分を落ち着かせたり、逆に盛り上げたりする効果があり、「エモーショナルな光」と言えるでしょう。

 

また、ランプ(光源)が直接見えにくいのでまぶしさが抑えられ、目にやさしい光になります。セカンドライフには、ぜひ取り入れたいテクニックですね。

 

これまで間接照明は、生活するための光源としては弱いと言われてきました。ただ現在は照明器具が進化したこともあり、I邸のように広範囲に施工すれば間接照明でも主照明になりえます。

 

もう一つ、大阪市西区O邸の例も挙げておきます。

 

 

ペンダントライトやシーリングライトは使わず、間接照明が主役となっていることがお分かりいただけるでしょう。

 

 

間接照明を廻した折り上げ天井を設け、リビングをさりげなくゾーニング。ダークブラウンの造作家具の下にも間接照明を入れ、床面を照らすことで落ち着き感をもたらしています。

 

 

壁ぎわにはダウンライトを設け、美しいタイルの表情を浮かび上がらせました。ダウンライトは基本的に真下を照らす直接照明ですが、このように壁の近くに取り付けたり、配光の角度が変えられる器具を使えば、壁を照らして間接照明のように使うこともできます。また、複数灯を集中的に固めて明るさを出し、主照明の役割を持たせることも可能です。

 

ここまで照明計画の具体例をご覧いただき、その効果をお分かりいただけたでしょうか。小さなフロアランプを1つ部屋の隅に置き、壁を照らすだけでも間接照明にはなります。しかし、もうお気づきかもしれませんが、とくに住まいと一体化した広範囲な間接照明は、後から自分で付け足すことができません。

 

ぜひ、リノベーションの初期段階で、ざっくりでも構わないので照明に対するイメージやご要望もお聞かせください。どう具体的にプランに落とし込むかは、プロである私たちの役目。慌てて要望を伝えて配線のやり直し…とならないためにも、早めのご相談をおすすめします。

 

光の色や、メンテナンス性にも配慮して


 

「光を分散させてまぶしさを抑える」ほかにも、セカンドライフを支える照明には気をつけたいことがいくつかあります。「光の色」もそのひとつ。

 

年齢を重ねた目には、「青み」を認識しにくくなるという特性もあらわれます。青白い光は細かい文字をはっきりと読みやすくしてくれますが、この青みを認識する力が弱くなるので、新聞や雑誌などが読みづらくなるのです。

 

そのため、近ごろ人気の赤みを帯びた電球色は、くつろいだ雰囲気づくりには向いているのですが、細かな文字はますます読みづらく感じるようになります。読書をしたり、手芸を楽しんだりするときは、雰囲気よりも目の健康や作業効率を優先し、蛍光灯スタンドなどの光で青みを補うようにしましょう。

 

また、明るい場所から暗い場所に移動したときなどに、目が慣れるまで時間がかかるようになります。vol.4「夜も安心!自慢のトイレ空間へ」でもお話ししたように、廊下などにはフットライトを付けて安全を確保しましょう。

 

さらに、メンテナンスがラクであることも重要です。寿命の長いLED電球なら、1日10時間の使用で約8~10年も交換する必要がありません。また、電気代も白熱灯の約10分の1で済みます。

 

電球を交換するのに、椅子や脚立を使わねばならないような場所では、LED電球にしておけば安心ですね。

 

まだまだ語れることはありますが、とにかく照明は「おしゃれ」「カッコいい」だけにとらわれないこと!これから起こってくる視覚の変化に対し、設計段階でしっかり配慮しておくことが大切ですよ。

 

 

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