住まいのリノベーションと
オーダーメイド家具製作

株式会社Re-create

セカンドライフ提案 vol.07 | リノベーションで防災力アップ

こんにちは、コラム担当マツイです。(マツイさんの書いた記事一覧はこちら)

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から、早くも25年の節目を迎えました。その間には、2011年の東日本大震災も…。それぞれの当時を思い出し、たくさんの人が防災への思いを新たにしたのではないでしょうか。

 

いつ何どき起こるかわからない大地震は、住まいやライフラインに甚大な被害を与えます。若いうちなら再起を図る気力もわいてきますが、年齢を重ねてからの被災は心身ともに大きなダメージを受けることでしょう。南海トラフ地震も不可避と言われるいま、被害を最小限に抑えるためにリノベーションでできることを考えてみました。 

 

 

家具の転倒を防ぐなら造り付けに


戸建て住宅の場合は、構造体に手を加えて耐震性を高めることができますが、マンションの場合は戸別に耐震補強を行うことができません。ただ、昭和56年(1981年)以降の新耐震基準で建てられたマンションであれば「震度6強の地震に耐えられること」をめざしているため、まず倒壊はしないと考えてよいでしょう。

 

そのため、いちばん気をつけたいのは「家具の転倒」になります。地震時のケガの要因の4割以上は、家の中での家具の転倒や、モノの散乱によるものなのです。

 

家具が倒れてきて、頭部を直撃したりすると命を落としかねません。とくに就寝中はとっさに避けることができないため、寝室での家具の配置には注意しましょう。

 

また倒れた家具そのものや、家具から飛び出して散乱した本などが、ドアをふさいでしまったり、避難経路の邪魔になったりする可能性もあります。万一、家具が倒れても、人がいる場所に当たらず、逃げ道も確保できることが大切になります。

 

しかし、それならば、「そもそも転倒しない家具にする」のがもっとも効果的な対策ではないでしょうか。住まいと一体化した、造り付けのオーダー家具にすることです。

 

その一例として、東大阪市M邸 の場合を見てみましょう。

 

こちらはリビングです。くつろぎ感を高める内装コーディネートも見どころですが、造り付け家具にもご注目ください。置き家具のように転倒しないことはもちろん、高さを抑えているため、天板の上にモノを飾ったりしても安全です。

 

さらに、重さのあるテレビもしっかりと下地補強を行い、壁掛けにしているので倒れる心配がありません。阪神・淡路大震災の際には「重いブラウン管のテレビが吹っ飛んできた」と語る人もいました。テレビが凶器とならないよう、設置スタイルにも注意が必要ですね。

 

M邸の間取りは、リビングとダイニングの間にキッチンをはさんだ構成になっています。写真はソファやダイニングテーブルが入る前の空間ですが、リビングの反対側にあるダイニングにも、低い造り付け家具が壁一面に続いています。壁ぎわに間接照明を仕込んだダークブラウンの家具です。

 

家族が長い時間を過ごすリビングやダイニングでは、徹底して高さを抑えた造り付け家具にする。それが空間を広く見せる効果となり、万一の地震の際の安全策にもなっているのです。

 

LDKのうち、収納を重視するのはキッチンで、リビングやダイニングの収納は深く考えないという人もいるでしょう。でも、リビングやダイニングで何をする?と考えると、実はけっこう多彩。それに伴って、いろんなモノが集まってくるようになります。

 

結局、後から置き家具を買い足したり、雑貨ボックスなどで対応したりすると、どうしてもインテリアとの違和感や安っぽさが出てしまうことに…。それなら初めから造り付け家具で、ある程度の収納スペースをつくっておくのが、インテリア的にも防災の観点からもおすすめです。

 

 

キッチンに食料の備蓄スペースを


地震発生から少し時間が経つと、問題になってくるのは「食料の確保」です。日頃から備えておかねばと思いつつ、置いておくスペースがないのでそのままに…という人も、リノベーションの際は備蓄スペースの計画を忘れてはなりません。

 

国が推奨している災害用の備蓄は1週間分とされていますが、あくまでも努力目標です。一般的には、最低3日分の用意があればいいとされています。水やレトルト食品などと一緒に、カセットボンベなども備えておきましょう。

 

さらに、月に2回は「非常食を食べる日」をつくりましょう。日頃から非常食に慣れておくためにも、消費期限が近いものからストックを使い、新しいものを補充するのです。これは「ローリングストック法」といって、国も推奨している備蓄の方法です。

 

そのため、備蓄スペースはキッチン内に設けるのがベター。キッチンから離れた納戸などに置いておくと、食べずに忘れてしまう可能性大です。そしてもちろん、キッチンの収納も造り付けがおすすめ。

 

次にご紹介するのは、そんなキッチン収納をたっぷりとった 大阪市北区I邸 の例です。

 

もとの空間はクローズドキッチンでしたが、壁を取り払ってオープンな空間としました。アイランドキッチンも、壁一面の背面収納も「kitchenhouse(キッチンハウス)」のもの。背面収納は壁にしっかりと造り付けているため、地震が起きても転倒の恐れがなく、耐震ラッチによって中身の飛び出しも防げます。

 

I邸ほどのキッチンの収納量があれば、備蓄スペースにも困ることがありませんね。

 

リクリエイトでは、お客さまが要望されるブランドやメーカーの家具を取り入れるだけでなく、スペースやインテリアに合わせ、オリジナルの家具を設計・施工することができます。収納物の飛び出しへの配慮や、備蓄スペースの確保もおまかせください。

 

 

人とのつながりを育んでおけば、より安心


地震対策として「家具の転倒防止」と「食料の備蓄」についてお話ししてきましたが、もう一つ考えられることがあります。ダイレクトに困るわけではありませんが、日頃から意識しておけばより安心です。

 

それは「ご近所づきあいをしておく」ということ。家族内に独立前の子どもがいたりすると頼もしく感じますが、年齢を重ねた夫婦ふたりの生活だったり、独居だったりすると災害時にはとても心細いものです。

 

普段からご近所さんと顔見知りであれば、いざという時に助け合うことができます。「大丈夫?」と声をかけ合うだけでも元気づけられますし、場合によっては食料を分け合ったりも。

 

そんな人と人のつながりを育むためにも、ご近所さんと気軽に語り合えるスペースをわが家に設けてはいかがでしょうか。たとえば、玄関土間を広くとってテーブルや椅子を置けば、ご近所さんが土足のまま腰かけて過ごせるスペースになります。

 

そこまでのスペースは取れそうにない、というマンションなどでも、こんなちょっとした工夫を盛り込むことができます。

 

先にリビングやダイニングでの低い家具をご紹介した、東大阪市M邸 の玄関です。玄関でも、収納家具を低く造り付けました。

 

普段、ご家族が靴を履くのに腰かけることを想定していますが、ご近所さんが来られた時もベンチのように活躍。上り框をまたいで設置しているので、自分は部屋履きのまま、ご近所さんは土足のまま座って話せます。わざわざ家の中にお通しするより、こちらも気がラクですね。

 

ここまでご紹介してきたように、地震対策は「後から」では実現できないことが多々あります。リノベーションの際は、ぜひ「防災」のことも頭に置いてご相談ください。もちろん、私たちもプロとして万全のアドバイスをさせていただきます。

 

インテリアの雰囲気をそこなわず、普段から便利に使えて、万一の時も安心。そんなオーダー家具をプランに加え、安心の住まいを手に入れましょう!

 

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