セカンドライフ提案 vol.02 | 夫婦のほどよい距離を探ろう②
こんにちは、コラム担当マツイです。(マツイさんの書いた記事一覧はこちら)
第一回では「夫婦のほどよい距離を探ろう①」として、空いた子ども部屋の活用法をご紹介しました。一人になれる空間や人を招く空間をつくり、夫婦で過ごす時間にもメリハリを持たせようというものです。
今回は、その第二弾。リノベーションによって50代以上の夫婦関係をさらにより良いものにするための、もうひとつのヒントとして「寝室」のありかたに着目してみましょう。ひとつのベッドで一緒に寝ることだけが、夫婦円満の秘訣ではないのです!
健康のためにも「夫婦別寝室」のススメ
前回ご紹介した通り、子どもが独立したあとの子ども部屋は「書斎・趣味の部屋にする」「サロンや教室を開く」「ゲストルームにする」「収納部屋にする」といった使い方ができます。そして実はもう一つ、今回のために取っておいた使い方が。それは「夫婦どちらかの寝室にする」ということです。
若いころは寝床に入ればたちまち眠れたのに、最近はなかなか寝付けない、という方も多いことでしょう。入眠前に読書をするなどしてワンクッション置くといいのですが、夫婦一緒の寝室だとパートナーに気を遣ってしまいます。さらには、昔はガマンできた夫のいびきが無性に気に障ったり、お互いに快適と感じるエアコンの温度差でバトルしたり…。
言うまでもなく、人が生きるうえで睡眠はとても大事なものです。そして睡眠は年齢を重ねるとともに変化し、次第に眠りが浅く、分断されがちになっていきます。「夫婦は一緒に寝るもの」という思い込みを捨て、「夫婦別寝室」でそれぞれの睡眠の質を高めてはいかがでしょうか。
もとの子ども部屋を夫婦どちらかの寝室に変えただけで、ストレスが大幅に減った!という声も少なくありません。もちろん子ども部屋以外に、あまり使わない和室や客間などにもリノベーションの可能性があります。別々にぐっすり眠れると、夫婦一緒の時間もイキイキと笑顔で過ごせそうですね。
「半個室」の寝室なら、付かず離れずの安心感
とはいえ、中高年になってくるとあちこち身体の不調も出てくるもの。夜間、完全に別々の個室にいるのはちょっと不安、相手の気配が少しは感じられたほうが安心…という声もあります。
そんな場合におすすめなのは、ひとつの空間をやわらかく2つに仕切ること。夫と妻、それぞれのベッドの間にスライディングウォール(可動式の間仕切り)を挟んでみましょう。
左手に見えるのがスライディングウォールです。天井吊り下げタイプなので、床面にレールはありません。半透過性のもの、向こうがまったく見えないものなど、デザインもさまざまです。
引き戸のように使い、開け放せばひとつの部屋に、閉め切れば2つの部屋にと簡単に使い分けができます。厚みのあるものや防音仕様のものを使えば、いびきのお悩みなども緩和されるでしょう。
リノベーションで実現する、さまざまな距離感
間取りを大幅に変えられるリノベーションなら、「夫婦の距離感」のバリエーションも広がります。スライディングウォールや固定壁で仕切る以上に距離を取り、あわせて生活動線もより便利なものにするプランニングが可能です。
たとえば、「夫の陣地」と「妻の陣地」の間にウォークインクローゼットを設けるアイデア。互いの陣地からすぐに身支度ができ、かつ間仕切り壁などで仕切るよりも夫婦の距離を置くことができます。クローゼットを通り抜けて、互いの陣地を行き来できるようにすればいっそう便利です。
オーダー家具まで一貫して承っているリクリエイトなら、スペースとインテリアの雰囲気に合わせたクローゼットを造作することができます。お手持ちの服のボリュームや求める使い勝手により、内部も細かく注文をつけていただけますのでお気軽にご相談ください。
また、リノベーションでは水まわりも動かすことができるので、思いきって互いの陣地の間にバスルームやトイレ、洗面室を配置するのもいいでしょう。夜はそれぞれの陣地で過ごすことが多くなり、ひとりの時間をゆっくりマイペースに楽しむことができます。
内装や照明にも50代以上ならではの工夫を
「自分の陣地」ができればインテリアも自分の好きなようにこだわりたくなりますが、寝室だからこそ気をつけたいこともあります。落ち着いて眠れる寝室となるように、内装や照明にも工夫を凝らしましょう。
こちらはリクリエイトが手がけた、東大阪市M邸 の主寝室です。まだベッドなどの家具は入っていない状態ですが、間接照明に包まれたグレーのアクセントウォールにベッドのヘッドボードが付くことになります。右手の木目調の扉がクローゼットです。
心理的に、ベッドの頭もとが壁に付いているほうが落ち着けると言われています。またM邸のアクセントウォールのように、グレーやブラウンなどのダークな色合いであればいっそうリラックスできます。確かにホテルでも、そのような色合いが使われていることが多いですね。
さらに照明は、やさしい色合いの間接照明を主体として、シーリングライトは調光できるものを。そして寝室で読書などを楽しみたい場合は、照度を確保する手元スタンドなどを加えましょう。目が疲れやすい50代以上の寝室ではとくに、眠りを妨げず、寝室ですることに応じて使い分けられる多灯づかいが基本です。
ちなみに「ベッドで寝るか布団で寝るか」については、50代以上ならベッドのほうがおすすめです。ベッドは高さがあるので寝起きがラク、しかも布団の上げ下ろしが必要ありません。最終的には個人のお好みによりますが、これまで布団派だった人にとって、リノベーションはベッド就寝に切り替えるチャンスでもあります。
使い古された言葉ではあるけれど、「人生の三分の一はベッドの上」。寝室のリノベーションから、毎日をより健やかに。そして夫婦関係も、今よりもっと心地よいものへと変えていきましょう!